バックとばし
スタジオでバックをとばす方法はいろいろあります。左右からカサでライトをうつ,上にライトを吊りカサで広く,上からちょうちんで,上から直トレで,などなどですが各々効果が違います。下に建てこみがあるときなどは上からライトを打つやり方をお勧めします。
①バックとばし「左右から」
背景を白くとばしたり、バックペーパーを鮮やかに発色させる時、バックだけにライトをあてます。
最初は簡単な左右からのバック飛ばし。
バックを飛ばすには、ライトの位置が正面の壁から離れれば離れるほど均等に回りやすい。
ライトヘッドの向きは正面壁の対角を狙うとよいでしょう。
ライトの高さ振りは写る面積によって変わります。もっと高くやる必要があるときもあれば、左右のライトを3灯づつにする時もあります。1灯づつでOKの場合もあります。
このままではレンズにハレーションが入るので,プロのスタジオでは必ず目隠します。
私たちは「ハレ切りを立てる」と言います。
ハレ切りは下部を斜めにカットして、足元に光をもらします。
このスタジオは左右が大まかに白いので、ストロボのパワーは同じでバランスが取れています。
ヘッドやジェネレーターの個体差があるので、意外にパワー表示が違ってバランスが取れることもあり。
ヘッドがUチューブかCチューブによって、元々の効率が違うので、同じ仕様のジェネとヘッドを使うこと。左右から飛ばす時、左右を同じタイプのヘッドにするほうが、バランスの調整が簡単です。
スタジオによっては、左右の壁色が違うこともあり、その場合は左右のジェネのパワーを調整しなければならない。
②バック飛ばし「上からカサバン」
バックとばしを上からカサでうちました。バック飛ばしとトップライトを兼ねることもあります。今回は手前に漏れる光をを切ってバック飛ばしだけにしました。
傘自体の面積が広いから、直トレやチョウチンで飛ばすより、全体に光が回ります。
カサのままだと、カメラにハレーションが入るので黒ケント紙で切りますが,これくらい黒ケンで光を切るとハレ切りだけじゃなく漏れ切りをかねています。
3つのカサにはトップの役目はなく,トップが必要ならばトップを追加してください。
カサの場合のハレ切りですが、カサに直接黒ケント紙をつけるやり方と、黒セットペーパーを左右に長く張るやり方があります。その他、色々なので、お好きなように。
次はトップをかねたバック飛ばしです。
目隠ししているのでカサが見えません。長い黒ペーパーはハレ切りだけで漏れ切りはしていません。手前のフロアーまで光が均等に回っています。
バックとばしは、傘、チョウチン、直トレでは手前の落ち方がずいぶん違います。バックだけとばすのか、手前の床までとばすのか、により方法を変えてください。
トップを兼ねたいときにはカサバンがいい、シャープに切りたいときは直トレで、床に光を漏らしたいときはチョウチンがいい。
③バックとばし「上からチョウチン」
狭いスタジオで、バックをとばし、かつ広く使いたい時に、ライトを上から吊って均等に照明します。
幅も高さも6mありますが、左側が3面アールの白ホリなので、左右からのバック飛ばしだと使える面積が限られてきます。
そういうときには、手間がかかりますが上からライトを打つのがいいでしょう。
今回はチョウチンでやってみました。短めのセンチュリーで吊っています。
2灯とも下振りで、右手(上手)のライトは少し右に振っています。右(上手)がグレーのコンクリートなので、カポックとレフ版で起こしています。カポックとレフ版の間が抜けていますが、そこの明るさの落ちがわかりますか?
本番は抜けた所にも白ケント紙などで起こしてください。肉眼ではわかりにくいが、写った時にはハッキリと違いがでます。
狭いスタジオですが、上からのライトで左右の立て込みが楽にできます。吊ったライトの高さは、、、4mぐらいか、、、。上から降りてきたコードは右に引っ掛けると、なおさらスッキリします。
チョウチンですが、直トレに比べふくらみがあるので、ややフラットになる。ハレきりはかっこよくこれくらい。これ以上光を切るようだと漏れ切りになります。
もうひとつ,ちょうちんバック飛ばしの例です。
ちょうちんのハレ切りが漏れ切りになっています。上の白黒のほうがちょうちんバック飛ばしの特徴が出ています。
④バックとばし「上から直トレ」
スタジオのバックをとばし、かつ広く使いたい時に、ライトを上から吊ってバックに均等に照明します。
幅が8mのスタジオですが3灯でだいたいきれいに光がまわっています。灯数が多いほど均等になります。これで足元が広々と有効に使えます。直トレバック飛ばしの特徴が良く出ています。光が来たところと,来てないところがはっきりしています。
左がコンクリの壁、右が3面アールの白ホリなので、同じワットで飛ばすと右側、上手側が明るくなります。それで、右が700w、中を800w、左を900wにしてバランスがとれました。
できればかっこよくジョキジョキっとな。
センチュリーブームは短いほうを使用。長いとジャマになることがある。
センチュリーを緩めたりするとき、ヘッドの落下に注意。ストーンと落ちます。
このような直トレのハレきりは、他でも良く作ります。
ヘッドにトレペをかぶせただけの直トレです。トレペに切れ込みを入れてあります。ストロボは発光したときの温度が高いので、切れ込みをいれ隙間を作り、ファンが回って空気で冷やしていないと、一瞬で発火することがあります。
ストロボは一瞬の光量がタングステン・ライトより見た目以上に大きいので注意。
スヌートで光を絞る時にも発火には注意してください。
これも直トレバック飛ばしです。トップからバック飛ばしをすると,床面を広く使えます。4種類のバック飛ばしがあり,使いやすいやり方でどうぞ。
バック飛ばしの露出は,手前人物ないし被写体の露出にに対して+0,5絞りがフィルム時代の基本でした。近年のレンズはフレーやーが少ないとはいえ,+1絞り以上飛ばすのは白バックからのフレーヤーが大きくなるので無意味どころか有害でしょう。
デジタルになって,その辺の手加減がいい加減になった嫌いがあります。いつもクリアーな映像,写真を心がけているならば,必要以上に強いバック飛ばしはマイナスです。
「直トレ&ちょうちん」の作り方と「はれ切り」をつける
http://studioon.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-4b56.html
スタジオオン
03-3363-0077
http://onphoto.co.jp/
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