講師は松田晢さん。
代々木病院友の会主催の健康祭りで、特別イベントとして講演がありました。
例年では、政治的な話や介護や福祉のイベント講演が多いが、今回のコミュニケーションについての講演は面白かった。政治的なスローガンは聞いていて発展性がないのでつまらない。政策批判を聞かされても、じゃ代案とその実現性と収支はあるのか、どうしたらそれができるの、と問題の解決にもならない話ばかりだ。
今回の講演は日常的な人のコミュニケーションを分析して解説してくれた、そうだったのかとうなずくことばかりだった。目からウロコとはこのようなことを言う!
家庭で会社で、日常で出先で、、、いろんな場面で人は言葉を介してコミュニケーションをとります。
男と女の言葉の差は大きく、言葉の意味さえ違います。言葉をどう使うかが、そもそも男と女では違うからです。
言葉は数あるコミュニケーションのひとつで、絶対的なものじゃない。伝えるということでは文章のほうは限られた意味を持っている。言葉はひとつの言葉の中に様々な情報が入っている。
実際に対面では言葉の内容よりも、表情や態度がインプットされるので、言葉の伝達は1/3ぐらい。はるかに表情などから受けるイメージの方が強い。
コミュニケーションは互いの信頼関係をきづくこと。
大事なのは聴くことよりも、訊くこと(問うこと)が重要。
コミュニケーションは相手がいるので50%対50%
男の言葉と女の言葉は違う。
例えば
男「窓を閉めよう」、、、言葉が直接的で理由より行動。
女「寒くない?」、、、「私は寒くてしょうがない。窓を閉めて」と訳す。
男「何か食べよう」、、、言葉とおり腹が空いて何か食べたい。
女「お腹がすかない?」、、、「腹ペコ!なにか食べたい」と訳す。
男「休もうか」、、、実際に疲れたので、そろそろ休みたい。
女「疲れない?」、、、「私はへとへとなの、休みたいのよ!」と訳する。
以上の通り、男の言葉は直接的に行動、目的を言い、女の言葉は共感を求めて行動を促す。男にとっては女言葉は訳さなきゃわからない。女の言葉や生活の基本は、周りの共感を得ようとしている。察してもらい共感してくれたら、それで半分以上の満足は得ている。
それに反して、男の言葉やコミュニケーションは行動をを口に出し、しかも話し相手よりも上の立場にいこうとする。俺なんてもっと大変だった、僕は君より考えている、などと自分のほうに話を持っていく。自分がすごいと思われれば、コミュニケーションの半分は目的達成。
それで相手が男女であったならば、男には「それはすごいね」「えらいなー」を連発していれば話し相手の男は十分にコミュニケーションが取れたと思い込みます。
女は違い、「それは大変だったね」「無理しないでね」「それじゃ皆んなに聞いてみようか」とかシッカリ共感してあげると、コミュニケーションが取れたと思います。
つまり、日常会話では男は偉いと思われたくて、女は周りに共感してもらいたい、のが通常です。会話の目的が男女では違うのです。
男は自分の価値や存在を認めてもらいたいと思っている。問題に当たった時、問題を軽く見ることによって、自分の中だけで解決を図ろうとする傾向が有る。
男はそれで問題を抱えてニッチもサッチモ行かなくなった時に自殺へ走る。「別にたいしたことないよ、、、」は意外に危ない。
女は基本的に共感してもらいたいと思っている。「ちょっと相談があるんだけど」に「こうしたらいいんじゃない」「おれはこうして解決した」などアドバイスなどは禁句です。「そう、それは大変だったね」と言われただけで、女の問題は氷解します。女は問題をひとりで抱えないから、行き詰っても男に比べて自殺に走ることは少ない。現実的で世の中の流れや風潮に乗りやすいのでしょう。
コミュニケーションはボディーラングエッジのウエイトが大きいと言いましたが、笑い顔で話すのと仏頂ズラで話すのとでは、意味合いが当然違ってきます。「いいよ」という言葉でもにこにこ笑い顔では「喜んでOK 」の意味があるけど、これが仏頂ズラで「いいよ」では「本当はいやだけど、まーしょうがない」の意味になる。
先日、日本の安倍首相が中国の習主席と握手したシーンがありました。ニコニコ顔の安倍さんに対して、しかめっ面でそっぽを向いた習主席の対比は面白かった。安倍ちゃん(さん)はよくやったねと褒められるけど、習主席は国内問題があって大変なんだねーと世界では解釈されます。それは韓国の朴大統領も全く同じでした。どちらも国内問題があるので「そんな顔」で外交しなきゃいけないのね。
むろん、習主席も朴大統領もニコニコ顔で外交をやっているのが通常でしょうが、あんな顔をしなきゃいけないのは、外交を担う人物として尻の毛を誰かに握られていると推測されても仕方がない。いわば、尻に火がついているんでしょう。安倍首相を退陣要求している方たちがいるけど、私は日本の首相として近年まれに見る首相だと思います。相手がそっぽを向いて握手しても、いやな顔一つ見せずにニコニコ外交。周囲の方の入れ知恵もあるだろうが、ニコニコ顔のほうが勝ちですよー、腹の中はどうであれ、、、。
話は飛びましたが元に戻します。
聞上手が話し上手とはよく言ったもので、会話は2人で成り立っているので、相手の話をよく聞くと相手はこの会話は良かったと思う。自分の話ばかりしていたら、会話相手にはフラストレーションが溜まるだけで、会話したことが逆効果になることがあります。
自分から相手の名前をつけて挨拶すると効果があります。
笑顏で話す。これは先ほどのボデッィーラングエッジと同じです。笑う顔の筋肉は7個しかないそうで、怒った顔は106個も筋肉を動員するそうです。笑うほうがはるかに楽なんです。
人が会話中に怒り出しても、怒ることを通常は4分半しか続かないそうです。話し相手が怒り出したら4分半じっと反論しないでいたら、大体は怒りのピークを過ぎて冷静になっていくそうです。その4分半の間に反論したり言い訳したり反撃したりしたら、その怒りが9分になり30分になってエスカレートしていきます。
日常でも殺意のような瞬間的な大きな怒りを感じることがあります。その平均的な秒数は6秒と言われています。その6秒を自分の内部でこらえたら喧嘩は大きくなりません。
会話のコツは、相手の言ったことを、繰り返して返す(リフレイン)。相槌を打つ(相手が話しやすくなる)。相手の気持ちを考えて言葉に出す(寄り添う)。
会社や仕事で使えるかどうかわからないが、会話の仕組みを考え理解しておくだけで、周りがスムーズに流れていくことでしょう。
難しい話じゃなく、笑とギター(演奏して歌う)の楽しい講演で、代々木病院友の会の健康祭りのメインイベントでした。
講師の松田哲さんは筑波大学を出られて、現在流通経済大学のスポーツ健康科学部教授。千葉県、茨城県で様々な委員をやられています。
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